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カースト caste(ジャーティ Jati) >>関連項目一覧


古代インド、バラモン教の考え方、ジャーティ Jatiのことをさす。「カースト」という語自体はポルトガル語カスタからきている。 古代の階級ヴァルナ(バラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラ)が結びつけられることもあるようだ。

ジャーティは社会的地位で、出生時に決定される。また職業との結びつけられるものもある。
清掃夫ジャーティ
織工ジャーティ
陶工ジャーティ
鉄工ジャーティ
皮職人ジャーティ
などがあり、これらは低いジャーティとされる。 高いジャーティのヒンドゥー教徒から儀礼的な意味で汚されていると見なされるという。

ジャーティは何百とあり、またインド各地方や村々でも異なり、伝統的職業とも限らないという。
たとえば駕籠(かご)かきのジャーティは現在では耕作民になっていることが多い、等。

ジャーティ(カースト)の成員は社会的に特殊な制約をうけていて、特に結婚や葬式は同じジャーティ(カースト)内で 行うことになっている。しかし現代では少なくとも葬式には制限が厳しくなくなりつつあるという。

ジャーティの宗教的な面として
・僧職は基本的にバラモン階級の特権
・バラモンは全ての階級より優位であり、それはヴェーダ聖典によっている
・カルマ思想(道徳的因果)により、高い身分、低い身分に生まれていると考えられている
・「清浄でないジャーティ」と「清浄なジャーティ」の違いは部分的にある程度まで宗教的な観念
 (あるいは「儀礼的な意味で汚れている」「儀礼的な意味で汚れていない」)

近代インドでは優勢なジャーティがかならずしもバラモンとは一致しない現象がみられるという。 (そのジャーティの態度・価値がバラモンよりも優勢だという)

現代インドでは急速な経済的発展・現代都市化にともない伝統的なジャーティ(カースト)のあり方がかわっているという。 大学入学や公務員採用での低ジャーティの留保枠が導入、拡大されるにつれ、従来のジャーティ(カースト)の制約などは解消されつつあるともいう。

シーク(シク)教徒はジャーティを認めないといい、入信の際には全ての者が同じ水を飲む、同じランガルで食事する等しているが、 16、17世紀の最初期のグルー(師)たちはそのような儀礼の遵守を確実にしたにもかかわらず、社会秩序としてパント(共同体)の中ではジャーティの規定に従い結婚し、 子供たちもそのようにしたので慣例として残っている。
またシク教徒の大多数はパンジャーブ地方の支配的ジャーティのジャットであった。 またヒンドゥー教と両方で重要なジャーティとしてカットリー、アローラーがある。(グルーは皆カットリー)
シク教特有のジャーティに ・ラームガリヤー(職工の複合カースト)
・アフルワーリヤー
・ラームダースィヤー(カースト外からシク教徒になった者)
・マズハビー(カースト外からシク教徒になった者)
と、結局ジャーティが存在しているといえる。

世界各地に、伝統的、歴史的、宗教的な階級・身分は有形、無形に存在する。

 
関連項目一覧
インド 【文化地域項目】
クシャトリヤ 【インド:バルナ、王族武士】

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