幻想世界神話辞典 〜
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クフーリン Cuchulainn >>関連項目一覧クーフーリン、ク・ホリンとも。アイルランド、アルスター(マンスター)地方のケルトの伝説における英雄。5世紀に実在した人物だともいう。名前の意味は「フーリンの猛犬」という意味。「ク」とはゲール語で猛犬のこと。猛犬は勇気や美の象徴だった。または、クフーリンとは「アルスターの声」の意でもあるという。また「アルスター人の最強の者」という称号も持つ。太陽神ルーとコノール王の后デヒテラの間に生まれた。幼名はセタンタという。 ある時、コノール王とデヒテラは、それとは知らず太陽神ルーに妖精の丘に招かれ、男の子と2頭の子馬を授かった。デヒテラは我が子のようにその子を育てるが、まもなく病気で亡くなってしまった。 子供の死を嘆いたデヒテラは飲み物と一緒に小さな虫を飲んだ。その夜、夢の中で光の神ルーに、死んだ子は自分の子で今、デヒテラの子宮に入っているので生まれたらセタンタという名をつけること、その子が大きくなった時に戦車をひかせるために、2頭の子馬を一緒に育てるように言われる。 無事に生まれたセタンタが7歳になった時のこと。王がクランの館の宴会に出かけるとき、球技(ハーリング)をしているセタンタを見つけ、その妙技に褒美として一緒に来るように言った。セタンタはゲームがいいところだったので、終わってから行くと約束した。 宴が始まり、来客も集まったので、館の主人クランは番犬を放していいか王に訪ねた。セタンタが来る事を忘れていた王は、いいと返事をしてしまった。この番犬は戦士が10人がかりでも倒せない自慢の犬だった。 セタンタが遅れてやってくると番犬に襲われ、格闘の末、これを倒した。騒ぎに駆けつけた王たちはこの勇気と力を称え、王は記念に、名前をクフーリンにするように言った。 立派な若者となったクフーリンは領主フォーガルの娘エマーを妻に迎えようと会いにいった。エマーもクフーリンを気に入ったが、立派な戦士になってからもう一度くるように告げた。 しかしエマーの父フォーガルはこの求婚を快く思わず、クフーリンが影の国の女魔法戦士スカサハのもとへいくようにしむけ、その危険な道中で生きて帰らないことを願った。途中父であるルーの助言をうけるなど、クフーリンは数々の難所をこえてスカサハに会い、戦いの技を身につけ、魔法の槍ゲイ・ボルグを授かった。 クフーリンは自力で身に着けたが、スカサハの元ではもうひとつ超人的な跳躍の術、「鮭とび」の術を身につけられる。 クフーリンがスカサハの元にいる時、スカサハと同じく魔術に長けたオイフェという女戦士とスカサハの間に争いが起きた。スカサハは、クフーリンを戦いに参加させまいと眠り薬を飲ませるが、普通の人間なら丸一日寝てしまうものが1時間しか効かず、クフーリンも戦いに加わった。オイフェの6人の勇士を一打ちで倒す。オイフェの大事なものを聞いていたクフーリンは、戦いの最中、「オイフェの馬と戦車と御者が谷間に落ちたぞ!」と言ってスキを作り、胸元に刃を突きつけ降参させた。その条件の一つでオイフェとの間に男子コンラをもうけた。 スカサハの「影の国」から戻ったクフーリンはエマーと結婚した。 その後、それとは知らず、わが子コンラとの対決で息子を死なせ、敵対するメイヴ女王の卑劣な策略で友人ファーディアと戦い、死なせる等悲しい戦いが続く。 クフーリンの最後はゲッシュ(誓約)を逆手にとった卑劣なもので、目下の者に食事を誘われたら断れないというゲッシュを利用し、自分の名前についている「犬」を食べないというゲッシュを破らせる。そのため半身が痺れてしまった。そこへ敵が現れ、弾唱詩人の申し出は断れないという戦士の掟を利用し、槍をよこせという。続けざまに3本の槍を投げ渡し、その都度9人、または9人の3倍の敵を打ち倒したものの、最後は愛馬と御者と自身に槍を受け、最後は内臓が飛び出たまま、倒れないよう自身を岩に結びつけ立ったまま息はてる。 首を切り捨てた敵に、その手に握ったままの剣が落ちかかって、その敵の右腕を切り落とした。敵たちは腹いせに、クフーリンの右腕を切り落とし、立ち去っていった。その亡骸の肩に、鳥の姿となったモリガンが別れを告げにとまった。クフーリンの愛馬マッハは黒い涙を流し悲しんだ。 関連項目一覧
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