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シンパン 神判 しんぱん Judicium Dei(ラテン語) ordeal(英語) >>関連項目一覧世界各地に古代からみられる、神などの超自然的権威に訴えて、行為の正邪、事の真偽を判定する裁判方法。 Judicium Dei(ラテン語)、ordeal(イギリス英語)とも。 この「神判」という日本語が学術用語、翻訳語なのか漢籍由来かは未詳。 神意を判定するためのさまざまな手段・方法が世界各地にみられる。 手段が物理的被害や致命的なもの 罪の証明=罰になる もの 偶然性に依存しているもの等がある。 ・ヨーロッパ 火神判 赤熱した鉄をつかませる 裸足で火の上を歩かせる 熱湯の中に手を入れる 等で火傷の有無をみる 火傷がなければ無罪 *1014年に戴冠した神聖ローマ帝国皇帝ハインリヒ2世の妻、皇后となった クネゴンデは貞淑に嫌疑をかけられた際、当時の習慣に従い、 真っ赤に焼けた鋤の上を歩かされたが 火傷しなかった。後に聖女となった。 聖餐(せいさん)裁判 司祭が祈りの言葉とともに 被告発者の口に聖別されたパン を入れ、飲み込んだら無罪、 つっかえたり吐き出したら有罪 棺台の神判(殺人の場合に用いられた) 殺害された死体が棺台の上におかれ 被告がそれに触れる。 死体から血が流れたり口から泡 を出したり死体の位置が変わったりしたら 有罪。 他に、「決闘で負けたら有罪」「くじ引き」も用いられた。 1215年のラテラン公会議で聖職者の神判立会いが禁止された。公的な神判の正当性の否定であった。 魔女神判、魔女裁判→魔女裁判・審判 しかし14c世紀-16c世紀の魔女狩りでは神判による試罪法が復活した。 水神判 右手親指を左足親指、左手親指を右足親指に結びつけ 池や川に投げ込む。浮かべば有罪で、無罪の場合は溺死となる。 溺死しなかった者は魔女として絞首刑となりどの道死ぬしかない。 イングランドでは18c世紀までこの方法が行われていたという。 ・インド マヌ法典、ナラダ法典などの古代法典に定められていたものがある。 火神判、水神判、また体重を2回量って前後の差異で判定 毒を飲んで中毒の有無で判定 ・中国 毒蛇を用いる 煮えた油を用いる ヤギに似た一角獣が裁判の際、嘘をついた者を発見 ・日本 盟神探湯(くかたち) 湯起請(ゆぎしょう)[室町時代] 江戸時代にも神判的なものがおこなわれていた。 ・ベトナム 人を呪い殺す悪霊マライと疑われた場合、熱した鉛を手の甲に落とし、貫通すればマライ確定。 ・アフリカ 妖術者の判定に神判が広く用いられた。毒や焼いた鉄が用いられた。 またカメルーンで裁判の時に用いられる2つ顔のある面には、この前ではウソをつけない、という力があると信じられている。 レレ民族(コンゴ民主共和国-旧ザイール) ある樹皮からとった毒を用い、告発された者が飲んで 吐き出したら無罪、死んだら有罪 嫌疑を受けた者たちはある一定期間をおいて全員一斉に毒を飲むという。 ニャキュサ民族(マラウイ湖北側-マラウイ、タンザニア) 告発した者と、された者が同時に毒を飲んだ。 代理をたてることができ 、毒を吐き出すのがうまい者が代理にされたという。 こうした試罪法は植民地政府により20c世紀初頭には全面的に禁止 されたという。その結果、妖術師が増えたと感じる社会もあるという。 メル民族(東アフリカ) 告発した者とされた者が長老集団の管理する「呪いの穴」を用いて互いに他を呪う。 、虚偽を語った者と親族 が次々に死ぬという。 21世紀になってもアフリカのニュースでは時折、妖術(呪術)が行われた等みられる。 古代-近世までの審判・裁判についても追記したい。 ・古代シュメール、バビロニア ・古代エジプト ・古代ギリシャ、ローマにも言及したいがまだ調査中なので追記したい。 古代エジプトの裁判記録等について「無限空間」様でまとめられた文章があるので 参照されたい → 無限空間ブログ:古代エジプトの法概念 裁判記録と刑罰 古代シュメール、バビロニアも古代エジプトも文書記録を行う都市型文明 で、特にシュメールは現存最古の法律文書「ハムラビ法典」(現在盗難紛失中) がある。しかし、両文明ともに神聖王権政治でもあった。無限空間様の調査範囲では 神判的裁判の資料がみあたらなかったようなので、アヌビスの裁きやシャマシュの裁き のイメージが強いものの、その分、実際の人が人を裁く場では神は介在 しなかったのかもしれない。もちろん初期には神判はあったはずだが 文明社会の成熟(制度化?)とともに神判が用いられなくなるのは人類統一的 傾向ではある。 古代ギリシャでは神託や占いが盛んであったことが知られているが ポリス民主政治での裁判は投票での有罪判定をも行っており、 裁判では神判があったか、これも調査して追記したい。 余談であるが、「どきどき魔女神判」というゲームがある(NINTENDO DS)。 参考資料 ・世界大百科事典(平凡社) ・日本大百科全書(小学館) ・キリスト教文化の常識(講談社現代新書) 関連項目一覧
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