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ジョーカー joker >>関連項目一覧


ヨーロッパの歴史、伝承における道化、またはカード(トランプ)のJOKERのこと。
語源はジョークjoke(冗談)をいう者、1670年にはjoqueの表記。ジョークはジェストjestとも同義。
1885年の記録ではJOKER(おどけ者)の意味は「デッキの変わった絵札odd face card in the deck」がある。

元々、洋の東西を問わず、祭事や宮廷、芝居などにおいて、おかしな、滑稽な振る舞いをする者、あえてルールの逆の行いをする者、が 存在した。また風刺、毒舌をはく批判者の役割があった。以下にはヨーロッパの例を示すが、カードのジョーカーはその道化が由来している。 より古くはタロットのフールFoolに由来するが、それも後述する。

ヨーロッパでは古代ローマの農耕神サトゥルヌスを記念したトゥルナリア祭(毎年12月)で選ばれる偽王(モック・キングmock king)が 原型といえるようだ。1年の終わりにだけ支配権を委ねられるが、祭りの終わりとともにスケープゴート的に共同体の穢れを担って 殺害されたという。
この古代ローマの農耕儀礼が淵源になったという、
・中世・近世の道化師、ロード・オブ・ミスルールlord of misrule(無礼講の王)が偽王としてふるまう
・中世教会の僧侶たちの「愚者の饗宴」における「阿呆の司教」の日常的宗教慣習を逆転させた行ない
がある。
近代には「愚者の饗宴」は徐々に抑圧を被り、一種のギルドとしての愚行結社へと世俗化していったという。 また批判者としての道化は、16-17世紀イタリアのコメディア・デラルテ、17世紀初めのエリザベス朝演劇、 ローマのミモス劇の流れをくむパントマイム、17世紀ドイツのハンスウルスト劇など演劇のなかで存在したようだ。
(日本の江戸期も芝居演劇による政治批判・風刺が行われた)
近代の宮廷では宮廷道化(コート・ジェスターjester)が仕えるようになった。
このようにジョーカー=道化には非常に特殊な役割があるといえる。

カードにおけるJOKERもきわめて特殊である。元はタロット(タロー)のアツウatoutと呼ばれる切札22枚(大アルカナ)、これは 21枚と添札の1枚で、この添札が、おかしな服装をした道化が曲事(くせごと)と悪徳の詰まった袋を背負って歩いている絵 になっている。フールfool(英語 愚か者、道化)である。
この添札がプレイングカード(日本語トランプ)のジョーカーjokerになった。52枚に1または2枚のジョーカーで一組になる。 (スペイン48枚、イタリア40枚、ほか36枚、32枚、24枚で1組の国・地域もある)



 
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タロット 【ヨーロッパ:遊び、ゲーム】

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