幻想世界神話辞典 〜
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コーラン Koran、クルアーンQur'an Qur'ān >>関連項目一覧イスラーム(イスラム教)の聖典、キターブ(啓典[けいてん])の最高位のもの。名前は「読誦(どくじゅ)されるべきもの」の意味。 ムハンマド(マホメット)が天使ジブラーイール(ガブリエル)を通して受けたとされる アッラーの啓示を集録したもの。 そのほかの啓典[キターブ]に旧約聖書のモーセ五書[タウラート]、詩篇[ザブール]、新訳聖書の福音書[インジール] がある。 啓典[キターブ]はイスラム教にとって六信(6つの信仰対象)として重要なものである。 コーランは神の創った言葉であり、人間や世界よりも前から存在し、その元型は天上に保管されているという。 預言者ムハンマド(マホメット) の仲介をへてアラビア語でアラブ人に与えられたとされる。 しかし最終的には人類全体へのメッセージであり、 先行するいくつかの天啓の書にとってかわるものとされる。 クルアーンはアラビア語で書かれ、原則訳されない。訳した物は補助的な注釈書ハディースとして扱われるようだ。 コーランの文章それ自体が聖なるものであり、良いムスリム(イスラム教徒)はその複製にふれるさい儀礼的に 清浄でなくてはならないという。 コーランの内容は信徒の信条・倫理的規範・法的規範などを特異な散文詩体(サジュウ体)で述べる。 メッカおよびメディナで啓示された114の章(スーラ)に分けられている。 初期のスーラでは神アッラーの唯一性、神への感謝と帰依、創造(ハルク)、審判(キヤーマ)および来世(アーヒラ)のこと などがのべられている。後期のメディナ時代のスーラには法的・社会的事例に関する神の規定が含まれており、 これらがイスラム法(シャリーア)に収められている。 預言者ムハンマドが啓示をうけたのがAD610-632年とされるが、ムハンマド没後に2回結集(編纂)されたという。 632-634年に初代カリフ、アブー・バクルの時、第1回結集が 行われた。ムハンマドの死後おきた争いで、啓示の口承者、語り部ハーフィズが多く戦死し、伝承が途絶えるのを防ぐため 編纂作業が行われたという。仏教の仏典結集が連想される。 3代カリフのウスマーン‘Ufhman(在位644?-656年)の時、第2回の結集(650年頃)が行わた。アラビア語方言の差が生じて おり、コーラン本文の違いが戦士たちの間に対立を生み争いがおきたからだという。 ムハンマドのいた、クライシュ族のものに統一したという。異本は焼却されたという。 このように成立した「ウスマーン本(版)」が現在使われている。 ただアラビア文字の表記法がきわめて不完全で あったことから(子音表記の文字のため)、同じテクストに対してさまざまな読み方が現れたが、 母音符号その他の符号が種々考案され、10世紀初めから徐々に統一に向かって、7学派の読み方が公認された。 そのうちの一つが1924年にエジプト政府刊行の テクストの定本として用いられ、以降その読み方が現在のイスラム世界で広く用いられているようだ。 現在でもクルアーンの読誦は幼い頃より正しい方法を教わる。節のつけ方、息継ぎ箇所も定められている。 多くの部分が母音押韻の独特の読誦法タジュウィードで読誦され、典礼の際、専門の読誦者の朗読は美しく聞くものを陶酔 させるという。 世界の他の聖典でもみられるが、コーランも一節を記した紙を入れたものを、お守りなどとして持つことがある。 時折、理解不足・不注意で、コーランの一節などを服のデザインや図画の中に用いたり、 意図的にコーランそのものを焼却、焼く、破く、破壊するなどの行為で、ムスリム(イスラム教徒)の人々との間で争い が起きる場合があるのは残念なことである。 ※内容多量のため随時追記します(更新:2010/09/10) 「コーランか剣か」という慣用句的なものが存在するが正確な出典や経緯が説明されたものはない ようだ。 コーランの日本語訳 ・ コーラン(井筒 俊彦 岩波文庫) ・ コーラン(藤本勝次 中央公論社) ・日亜対訳聖クルアーン(日本ムスリム協会) 参考資料 ・世界宗教事典(青土社) ・図解 宗教史(成美堂出版) ・日本大百科全書(小学館)[執筆者:中村廣治郎] ・大辞泉(JapanKnowledge) 関連項目一覧
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