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イリアステル Yiliaster,Iliaster>>関連項目一覧


ヨーロッパの錬金術における伝承。パラケルススの思想だという。 イリアステルYiliasterとは、世界の始源にある未分化の至高なる宇宙的「原一体(ユニテ)」、 万物の「第一質料」「大いなる神秘Mysterium magnum」、 形のない不可知なもの、もろもろの可能性と力のとの驚くべき貯え、 やがて万物それぞれに限りなく多様な特性を与えることとなる源。だという。
これは別の語「プリマ・マテリアPrima Materia」とも呼ばれるようだ。

この原初の暗闇は存在がとりうる形の不変の本質をなすが、潜在的で未分化な状態で、存在が以後たどる発展の全段階が 無(ネアン)の状態で刻み込まれている。

この単一の根源が具体的に現れるためには否定的・女性的・受動的原理カガステルCagasterと能動的・男性的原理とが二元的 に分かれることによって分極しなければならず、両原理の結合から「カオス」あるいは「イデオス」Ideosが生まれるという。 このようにイリアステルは分割され、己れの胎内から原物質「ヒューレーHyle」(哲学用語では「質料」より純粋には 「第一質料」)を出現させた、というよくわからない説明がある。

1行でいうと宇宙・森羅万象の根源、といったものか。

この原物質をパラケルススは「創世記」の万物の実体を孕んでいた「水」にたとえ、この「大いなる混沌界」が能動的 な「光」の作用によって3つの原質、「硫黄」「水銀」「塩」に別れ、この三者の結合から、形ある「イリアドゥスYliadus」 および四大元素、「万物の母」が生じたという。

プラトンが「ティマイオス」の中で「第一質料」について語っているという。

参考資料
・文庫クセジュ 錬金術 セルジュ・ユタン:著 有田忠郎:訳 白水社

 
関連項目一覧
ヨーロッパ 【文化地域項目】
錬金術、錬金術師 【大項目】
パラケルスス 【ヨーロッパ:錬金術師、医学者】

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