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ヤマブシ 山伏 やまぶし (山臥) >>関連項目一覧やんぶし。日本の歴史伝承、1.世をのがれ山中に住む人、2.山中で修行する僧、3.修験者。 名前は「山に伏すこと、野山に野宿すること、する人」の意味。 魔術・呪術的な祈祷を行う民間信仰、神道・仏教的な修験道の修行者。 1.の意味で 『源氏物語』-手習「あはれ山ぶしはかかる日にぞねは泣かるかしといふを聞きて、我も今は山ぶしぞかし」 『拾遺和歌集』(1005-1007年)-雑下・五二九「やまぶしも野ぶしもかくて心みつ今はとねりのねやぞゆかしき」 2.の意味で 『多武峰少将物語』「やまぶしは苔の衣などのみこそ身には添ひたれ」 『宇津保』-忠こそ「年若かりしより、くらまの山にこもりて、今年は三十年になり侍ぬる山ぶしなり」 『源氏物語』-若菜下「いかでさる山ぶしのひじり心に、かかることどもを思ひよりけむ」 3.の意味で 『梁塵秘抄』-二・二句神歌「やまぶしの腰に着けたる法螺貝の、丁と落ち、ていと割れ、 砕けて物を思ふ頃かな」 『宇治拾遺』一・五「ほら貝腰につけ、錫杖つきなどしたる山臥のことごとしげなる」 おおむね現代では、「修験道(しゅげんどう)の宗教的指導者。山岳で修行することによって超自然的な力を体得し、 その力を用いて呪術(じゅじゅつ)宗教的な活動を行う宗教者で、山に伏して修行することから山伏といわれた」 といった感じであろうか。役行者(えんのぎょうじゃ)を祖とする場合もある。 または熊野の密教僧なども同じような感じである。 また験を修めた者という意味で修験者、一宗一派によらず諸山を歴訪することから客僧ともいわれる。 山伏は鈴懸(すずかけ)、結袈裟(ゆいげさ)を着、斑蓋(はんがい)と頭巾(ときん)を頭に着け、 足に脚絆を着けて八つ目の草鞋(わらじ)を履く。 道具類に、腰に貝の緒(お)と引敷(ひっしき[坐具])、笈(おい)と肩箱を背負い、腕に最多角(いらたか)の数珠、 手に金剛杖か錫杖を持って 法螺を吹くといういでたちをしている。 山伏中世期に最も活躍したようで、吉野(奈良)、熊野(和歌山)、 白山(石川・岐阜)、羽黒山(山形)、英彦山(福岡)などを修行のため跋渉した。 加持祈祷や調伏などを行い、 戦乱などの時は従軍祈祷師や間諜(スパイ)として活躍したという。 平安時代までは呪術や祈祷・まじないを行う陰陽師は役人であり国が管理していた。 また僧侶の受戒も国の管理下にあった それでも民間に法師陰陽師もいたし、 武家政治や戦国時代になると、政府の管理を離れ、戦国時代には、軍法家という、陰陽道も行う軍師がいた。 民間の加持祈祷を行う者としていい時代だったかもしれない。 だが近世以降は遊行を禁止され、町や村に定着、巷の祈祷師的存在になっていったようだ。 密教僧の山伏に大日如来との一体性や、服装・持ち物と金剛界と胎蔵界の曼荼羅を表すなどの教義・定義があるようだ。 山伏が神を慰める「山伏神楽」がある。 東北地方などでは布教のため年末から新春にかけて神楽を演じて回るという。 歌謡・歌唱歌『山伏踊』「山伏さまのかみにかぶりたる頭巾甲(ときんかふ)。 宿の子ひめの子の目について。はたと忘れな駿河山伏。山伏踊を一をどり」 『日高山伏物語』(椋鳩十:著)というドけち山伏(やんぶし)の笑い話、児童文学がある。非常に笑えて面白いが 伝承的な山伏とはなーんにも関係ないと記憶する。 参考文献 ・ 日本国語大辞典 〔精選版〕 1 ・大辞泉 (JapanKnowledge) ・日本大百科全書 (執筆者:宮家 準 小学館) 関連項目一覧
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