幻想世界神話辞典 〜
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月 >>関連項目一覧※2013/09/19 中秋の名月 十五夜です 地球の周りを回る衛星。不思議なことに月と太陽の大きさが1:400、そして地球からの月と太陽の距離も1:400であるため、地上からは、 ほぼ同じ大きさにみえる。太古の昔から人間の生活と深く関わってきた星だけに、世界各地に神話や伝説が数多くみられる。 1990年代以降「月にかわっておしおきよ!」という慣用句がある。 月の名称・呼称 bulemoonムーン Moon:英語 ブルームーン bule moon:長い間。ありえないもの。暦上ひと月に2回満月があること。青く見える月。 「once in a blue moon」 ごくまれに、めったに…ない 「Such a chance comes once in a blue moon!」 そんな機会はめったに来るものではない ツキ:日本 玄兎(げんと):日本(中国?) 月の異称 太陰(たいいん):中国 チュプchup:アイヌ aningâq,aningâk:イヌイット(西グリーンランド)qâumatとも(空の月、暦の月の両方の意味) ラ:ミャンマー チャンドラ:インド:神 ラビエ:インドネシア東部セラム島ヴェマーレ民族(月=女神) シナリ:ソロモン諸島マライタ島ラウ民族 バールー:アボリジニ:男神 ママキーヤ:インカ:女神 マーニ:ゲルマン,北欧:男神 ルナ:古代ローマ:女神 セレネ:古代ギリシャ:女神 初夏の高度の低い月は赤く見え、英語圏ではストロベリームーンという。月の高度は夏低く、冬高い。(北半球の場合か) 月の模様については、世界各地で様々な解釈、伝承が見られる。2012年10月、日本の探査衛星「かぐや」の 調査データから模様は隕石衝突でできたという説を裏付ける結果がでた。
月にまつわる物語では、ナナイでは蛙の娘が月にのぼる話があり、漢民族にも月の仙女ジョウガ(コウガ)がいて、やはりヒキガエルと関連がある。 日本でも月の天女かぐや姫と、アジアでは女性と関係性が強いのかもしれない。南アメリカの先住民族では老人に関係づけられるようだ。 マヤ民族がそうであるし、古代メキシコの月の女神イーシュチェルは「おばあさん」と呼びかけられる。 しかしながらインカの太陽の妻の女神ママキーヤは老婆ではないようだ。 漢籍にはインドを「天竺」や「月氏」(げっし、がっし)というものもあるようだ。 インドでBC296年まで在位のチャンドラグプタの王朝があったが、これではなく、 春秋末-戦国末(前BC481-前BC221年)の頃、中央アジア、バクトリアで勢力をもった遊牧民も「月氏」とよばれたものの方か。 紀元前後、月氏はクシャーン民族にかわったという。調べて追記したい。 月の神が男神か女神かは太陽神とも関わりがある。2つで対だと考えられる場合もあり、どちらかが男なら、片方は女、といった具合である。 ヘレネス(ギリシャ)では太陽と月は双子の兄妹、アポロンとアルテミスである。 あるいはローマの月の女神ルナ(ギリシャのセレネ)がいる。 月の満ち欠けの起源物語があるバルトの月の男神メーネスも一説では女神だともいう。 北欧神話では神々が人間に年月を数えるために満ちゆく月と欠けゆく月をつくったという。また太陽と月の御者は、 日月の名をつけられたため神の怒りをかった 娘ソール(太陽の意)、息子マーニ(月の意)なのだという。 他には、古代シュメールでは月神シンは男神。 ローマのディアナは女神である。フランスではシャルルマーニュの12勇士の一人がグリフォンに乗って月まで行く物語もある。 また古代南アメリカ、マヤの伝承では理想郷をつくる王子が、恋人の娘とそれぞれ太陽と月になる話がある。 太陽と月の対比としては、その起源が巨人の目からそれぞれ太陽と月ができた、あるいは原初の世界のもとになった卵の黄身が 太陽、白身が月になったという物語もある。 左目/右目 太陽− 月:バンコ(盤古):中国 太陽− 月:イザナギ:日本 月 −太陽:ホルス:エジプト 複数の太陽と月が弓矢によって射落とされる物語も多くの民族にみられる。 月の影響(精神・生き物への) 多くの古代の民族では、月は死んだ最初の人間だと考えられていたようである。古代インドでは死んだ祖先たちの暮らす 「ピトリス」は天の最も高いところの死者の国、月だと考えられていた。 南米の神話ではウィラコチャ(創造の湖の意)神がいるが、チチカカ湖が太陽と月を創造された場所だという。 他には動物との関連性もみられる。イヌイット、ユッピック民族の伝承では月のユアは動物を制御するという。 また、女性の月経の由来が月に関連する物語もある。サンゴの産卵など、満月や新月に産卵をおこなう生物は多い。 あるいは有名な狼男と満月の話、または月のもたらすという狂気(ムーンストラック、ルナティック)なども知られる。 現代では月の満ち欠けと犯罪発生についての研究があるなど実に興味深い。 月と文学表現 満月の美しさは世界各地で褒め称えられている。 「盆のような月」(日本)、「車輪のような月」(アラビア) 日本などではお月見がある。トルコ人、イラン人もボスフォラス海峡やカスピ海が月見の名所だという。 新月に関しては、万葉集に「月の船」とあるのは海に関わりが深いせいか。 中東・西アジアでは牛の神聖視と結びついてか牛の角にみたてられた。 またイスラムでは「月の鎌」「月の弓」といわれたようだ。(日本にも弓月などみられる) アラビア・ペルシャ文学で「龍涎香の荷を載せた銀の小船」など詩的表現の斬新さを競う風があったらしい。 水面の月影を「緑の砥石の上に描かれた黄金の条痕」等。千夜一夜物語の中でも月の文学的表現がみえる。 月と魔術も深くかかわっている。以下、いくつか伝承をあげる。 呪術のいくつかは月が満ちる時に行わなければならなかった。 ジェラード、ターナー、カルペパーの占い本草誌には彼らが処方する治療法には月の影響力が重大と考えていたことがわかる。 プラトンも「テッサリアの巫女は空から月を取り去ることができた」と書き残した。 オウディウスは「呪術で星が血を滴らせ、月が血のようにパープル(深紅色)になった」という話を伝える。 タロットカードTarot card には「月 The Moon」がある。moon シェークスピア 「こいつの母親は魔女、しかも力を使わず、 意のままに、月を支配して、 潮の満ち干を操るほど強いやつだった」 (テンペスト第5幕第1場) イスラム圏では、赤十字社のマークを条約上赤十字のかわりに赤新月を使用することが認められていて「赤新月社」と呼称 (赤十字としては、十字には宗教的意味はないとしている)。 イスラエルは「ダビデの赤楯」の使用を主張しているが、公認されていない。旧約聖書啓典の民たちは複雑である。 月の名称 暦とも関係するが、太陰暦で月の満ち欠けで日にちを数えていた名残等もあり、月の形状に様々な呼び方がある。 ・日本 朔日(ついたち 1日 新月) 三日月(みかづき 3日) 十五夜(じゅうごや 15日 満月 望月もちづき) 十六夜(いざよい 16日 既望 満月の次の日 いさよう[停滞する]) イスラムでは満月は「14夜」と数える。(月のない状態が1夜でないためだろう) 日本でも生活暦として、月齢で日付を共有しやすい太陰暦は近代まで使用された。 イスラムでは宗教上重要な断食月(ラマダン)や巡礼月の始まりに、地平線に新月がでるか目をこらした。 現代では新月の出が速報テロップで伝わるのでテレビに目をこらしている。 (インドネシアではアニメ「ドラえもん」放映中にテロップがでていた等) その他の月関連の名称 ・残月(ざんげつ) [日本] (明け方まで空に残っている月。有明の月。のこんの月。) ・中秋の名月 [日本] (中秋の満月、十五夜の月) ・クレセント クレッセント crescent [英語 他] (三日月、新月、弦月 三日月形) crescent of the moon ※ヨーロッパ(英語、フランス語、ラテン語他) ※元はアングロフランス語cressaunt、ラテン語crēscentem 「出てくる、成長する」の意味から ※クレシェンド クレッシェンド crescendo はイタリア語から 「成長する」の意味から スーパームーンは現代の使われ方か。月が楕円軌道のためにおこる地球への最接近。 2011年3月19日の、月が地球に最接近した時、満月の大きさが14%大きく30%明るく見える、とNASAが発表。 (35万6575kmまで接近 過去20年最短距離) 2012年5月5日(米国時間)では「16」%大きく30%明るく見えるとのことだった。 ナショナルジオグラフィックの2012年のニュース記事(Andrew Fazekas for National Geographic News 天文学者ゲザ・ギュク氏の話し等) によれば 1979年頃からの呼ばれ方らしい。 「スーパームーンが夜空に現れると自然災害が起きるという噂がある」がそんなことはない、とも紹介していた。 今後のスーパームーンが「伝承」となるか追っていきたい。 余談だが、日本で月といえば昔は「月光仮面」、1990年代以降は「美少女戦士セーラームーン」や、サイヤ人大猿化要素 だろうか。円月殺法、ザンボットムーンアタックなどの技名もある。 ムーンストラックをあつかった?コミック「月光条例」もある。 なお、Wikipediaの「月(タロットカード)」の英語ページには、遊戯王カードの「Arcana Force XVIII - The Moon」や ジョジョのスタンド「ダークブルームーン(英語Deep Blue Moon)」の記述がある。(誰だ載せたのw) 月はいつの世も神秘的・美術的なシンボルなのかもしれない。 参考資料 ・各言語辞書 ・“月”とイスラム理解 (杉田英明) ・NHK 他、各地域の神話資料等 関連項目一覧
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